女性です。私がふたまたをかけて失敗したのは20歳のころのことです。当時大学受験に失敗し、就職も出来ないままで、気持ちがすさんでいた時期でもありました。そんなある時、私の友達とその彼氏と私の三人でファミレスでヒマつぶしをしていました。友達がトイレに行っている間に、友達の彼氏が私にこんなことをつぶやきました。「彼女と上手くいってないんだよな」彼は彼女に振り回されてばかりいる。それも含めてかわいい彼女なんでしょうが、度が過ぎると嫌気もさす。そんな内容でした。そして最後に彼は「携帯番号教えてよ。なんか気が楽になる。もっと話したいわ」といいました。一瞬、「うわ、最低」と思いました。しかしちょっと気分が良かったんです。受験や就職活動、その頃の私は、いつでもふるいにかけられる側の立場でした。しかも、すくいとられるのではなく、振り落とされる側。私は誰にも認められない人間なんだという思いにかられ傷つきもしていました。だから、私の友達の彼氏という恋愛対象外であるはずの人から気に入られることが特別に気持ちよかったんです。さっそく連絡を取り合う仲になり、ほどなくして私たちの浮気は成立しました。私は友達に内緒で友達の彼氏と付き合い始めたのです。自分が100%悪いのはわかっています。けれど、なんとか正当化するために、私は自分の友達のことを「うーん。友達とは言っても前からあの子のことはそんなに好きじゃなかったし、気も合わなかったしな」なんて心の中で彼女を悪者のようにしている自分がいました。口にこそ出さなかったけれど。こうして内緒の交際をしているうちに、私の気持ちはだんだん不安定になってきました。罪悪感がストレスに直結してたのは言うまでもありません。彼氏ができたと言っても、相手が相手だけに誰にもそのことは言っていませんでした。なので今まで通りに遊びの誘いが来ます。男女混合で遊びに出かけることだってしょっちゅうありました。まるで日ごろのモヤモヤした気持ちを爆発させるかのように積極的に遊び歩いていたように記憶しています。そしてついに私は別の男性とも交際を始めてしまいました。誰にでもいい顔をして、好いてくれる人にいい顔をしたい。ちやほやしてくれるなら誰でもいい。自暴自棄で遊び惚けている間に私はなんて嫌な女になってしまったのでしょうか。しかしそんな罪深い生活はあっという間に破たんを迎えました。その日私は、新しい彼氏とお泊りデートをしていました。彼の独り暮らしのアパートでお酒を飲みながら過ごしていたのですが、途中でビールを買い足しに近所のコンビニまで出かけました。部屋着のまま二人でビールや食品を選んで買い物を済ませ、コンビニを出ようとしたとき、私の目の前に人影が見えたので少しだけ横によけました。するとその人影は立ち止まったまま動きません。私が顔をあげると、そこには友達の彼氏であり私の彼氏でもある男性がたっていました。「だれ、その男」私は黙りました。ここで「友達だよ」といったらデート中の彼氏と間に亀裂が入るし、かといって「彼氏だよ」なんて口が裂けても言えない。私はデート中の彼氏の手を取って、黙って横をすり抜けるように通り過ぎました。「あの人を見ないで。急いで。あの人私の元カレなの。未練たらたらでしつこいの」私はウソをつきました。結局、私と浮気をした友達の彼氏は、私を振って元の彼女のところに戻りました。自分が私を誘ってきて交際することになったのに、その彼はあることないことウソを交えて私のことを友達に打ち明けたようです。私は友達から絶交を言い渡されました。当然の報いですよね。私が悪いのですから。けれど、彼だって悪い。…でもそんなことなんの足しにもならないくらい私は友達にも彼氏にもボロカス言われました。何を差し置いても私が一番悪い。そう言われてしまえば何も言い返せませんでした。ついでに、新しい彼氏ともほどなくして別れました。この件に関わる全てが一度に崩壊したときは、目の前が真っ暗になったけれど、妙な解放感がありました。友達から彼氏を略奪するような真似をしたり、ふたまたをかけたり、そんなことをして、上っ面だけ浮かれてみせても、心から楽しめるなんてはずがなかったんです。本当につまらないことをしたと思います。
30歳 女性 友達の彼氏とふたまた あんな思いはもうこりごり
