SOSEKI展
CONCEPT EXHIBITION ARTIST EVENT SPECIAL THANKS

漱石ってお固い文豪かと思っていたら、すごくアヴァンギャルド。夢十夜を初めて読んだ時に受けた印象は、このようなものでした。

文豪漱石のイメージからはほど遠い印象をアーティストさんの作品パワーで感覚的に 伝える事ができないか?!という試みは、2007年1月25日〜2月13日に「And  A  shibuya」と「And  A  umeda」にて同時開催された「YUMEJUYA  EXHIBITION」として具 現化されました。(夢十夜10作品のみ)

特に後期の小説はあまりに完成されすぎていて漱石のヴィジュアル的な才能に気づき にくいのですが、色彩表現や映像的表現に気をつけて作品を読んでみると、その端々 に漱石の頭の中にあった映像を読み取る事ができます。

2008年、100周年の節目の年に開催するSOSEKI  Carnivalでは、その対象作品を 漱石の小説・小品を網羅する30作品に広げ、夢十夜以外の作品における映像イメージ の具現化にチャレンジしています。ここでアーティストがトライしているのは小説世 界を挿絵的に表現することではなく、漱石の映像世界を肉体感覚として受け止め、現 代に変換し、アウトプットする事です。

今となっては古めかしい文章と感じるかもしれませんが、100年前に漱石は新しい表 現を目指していたのです。当時の新聞小説はメディアとしては現在の携帯小説に匹敵 するくらい歴史の浅いものでした。
また、同時代の小説家が漢文調の文体で小説を書いていたのにもかかわらず、漱石は 誰にでも読みやすい口語体で小説を書きました。新しいメディア、新しい文体に拒否 反応を示す事なく、むしろそこに果敢にチャレンジして不特定多数のユーザーに向け て作品を発表し続けたのです。

100年前の人々はそれを楽しみ、漱石は人気作家になりました。100年後の我々 は当時の最先端の表現の中に普遍的な何かを感じて、文豪漱石は日本代表として不動 の地位を築いたのでしょう。

40歳を過ぎてから作家活動を始めた漱石の作品は、実は中学校や高校ではなく、大 人になってから読んだ方が味わい深く面白いものです。アーティストによる漱石の解 釈をきっかけに、もう一度小説を手に取っていただけますと幸いです。

     大和日英基金 IID